フードのついた和装用コート 簡単製図と作り方

メンズコートを作った残布で作った着物用のコートを作りました。和裁のように四角く裁断したので余った生地をすっきり使い切れて良かった記録。

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キモノ用コートを作る準備

材料

表生地は、厚めのリバーシブルウール。幅1.45m×1.3mと失敗フードとハギレ少々。
日暮里のトマトセレクト館のイタリー製・布幅140cmで@1,480円/mでした。

裏地は、ベンベルグ。使い掛けの中途半端裏地で足りなかったので色違いの半端裏地も投入。
副資材として、ホックとくるみボタンと接着芯。

着物用コートをつくろう

巻きの最後だったので、4.1m購入して、メンズのフードコートを作った残り生地。
厚手でアウターっぽい生地だし、失敗フードはばらしたくないし、パンツとかスカートだとまた微妙な残りが出てもったいない気がしたので、使い切りを狙ったアイテム選定です。

出来上がった感じ、ほぼボックスシルエットのフード付きジャケットです。
衿周りががばーっと開くのと、袖が着物っぽいので、お洋服の上に着るには向かないです。

和装用フードコート

生地の裁断と部品の取り方

手持ちの着物の裄(ゆき)を計って、袖と身頃の幅を決めたら、ざっくりした型紙を作って、パズルのように一番大きく作れるサイズを模索しました。

下が教科書にある通りな感じの布の取り方。前身頃と後ろ身頃はつなげてとって、ダブルになる打ち合わせ分は、立て襟としてくっつける仕立てになります。肩の縫い合わせがないので着物っぽい。

和装用コートの一般的な裁断図

着物っぽいけれども、生地が厚くて形状キープ力が結構あり、肩がいかり肩になる予感がとてもするので、前後身頃を分けて肩で縫い合わせる事にしました。

前身頃は前中心から打ち合わせ分を伸ばして、ざっくり下の図のような感じで生地を取りました。おおまかにはこれで、あとはパーツごとに微調整。

和装用コートの裁断図・肩線あり

最終的には、チェックの柄に方向があるので、後ろ身頃は上下ひっくり返し、肩線は斜めにして肩の収まりが少しでもよくなるようにしました。

前身頃の裾と袖は丸くまるめ、後ろ身頃の裾は可能な限り伸ばしました。帯で後ろ身頃が持ち上がるので、後ろ身頃の方が長い方が美しいです。

予備の所は前身頃の見返しに。コマコマした端切れは、ポケット口とくるみボタンに。裏地は表地が決まってから成り行きで裁断。カーブ部分も線をざっくりひいて、表も裏も直裁ちです。型紙はいらないです。最終的にポーチが作れる位の端切れが残りました。

和服っぽく作るのなら裾の返りとか袖口布がいりますが、布が足りないし、生地が厚くて袖口布をつけると分厚くなるから省略です。

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大体の和裁本には、長着(単衣とか袷とか浴衣)、襦袢、肌襦袢、羽織といった、和服とか着物とか言われて思いつく一般的なアイテムの他に、コートや道行き、赤ちゃん用着物なんかの作り方が載っています。著者の方によっては、洋服地を使って作るアイテムも載っているので、一冊あれば結構色々作れます。お着物、和装に興味がある方は、ぜひ一冊何かお手元にあると便利です。

新きもの作り方全書は、私がずっと使っている参考書です。寸法は古いので、記載通りの寸法で作ると小さすぎたり、古くさくなってしまいますが、基本は変わらないので、お手元の着物のサイズをはかるとか、お仕立ての時の指示書を参考になさると良いと思います。

完成した着物コート

和裁の作り方と洋裁のやり方をミックスというか、それっぽい形になればもうけものな感じで作ってみたものですが、出来上がるとかなりかわいいです。ほとんどミシンで縫いました。

吊してみると洋服っぽいから袖もこんな感じで良さそうだけど、和服の上に着るには袖丈が短いような気がします。35センチしかありませんが、布の長さが足りなかったので仕方ありません。

和装用フードコートの全体・前後

袖付け線がカーブになってるコートとかあるんですが、今回は平らに置くと奴凧みたいな形になる袖付けにしました。穴は開いていないので袖部分に着物の袖が入りきらないかもしれない。

ポケット

手持ちの和服系上着になくて不便と思っていたポケットつけました。
ポケットがあっても一個だけとか、浅いとか何か入れると形が崩れるとか、使い勝手の悪い事が多いので、普通のお洋服のように左右に2個、普通のポケットを装備。

ポケット内袋は、手頃な型紙を流用しました。裏地付ける時は、適当で大丈夫。

和装用フードコートのポケット

控えめな気がする片玉縁ポケットにしてみましたが、縫い目利用のポケットが一番目立たないんでしょう。チェック柄はちゃんと合わせるべきだったかもしれないけれども、半端に合っているよりは豪快にずれている方が良いと思う。

フード

着物の上に着るので襟周りが長くなるので、フードの折り返しを減らして、襟付け線にあたる部分を少し延長しました。結果、フード全体も大きくなっています。襟付けは、後ろ中心からスタートして成り行きでくっつけました。

後ろ衿の衿下がり(和服でいうところの繰越とか繰越下がり)は好みの寸法にします。羽織とかと同寸で良いんですが、それぞれの着物の着方でちょうど良い寸法が変わるので、自分用に作るのならば自分が一番着やすいサイズで作るのが一番だと思います。

フードは、夫コートの時の柄あわせ失敗した部品を流用しました。洋服と着物での襟付け線の形の違いは襟付けに影響を与えません。今回はフードくっつけましたが、大きな衿でも、かわいい丸襟でも、いろんな形のかわいい衿付き和装コートがもっと増えるといいなあ。

下の写真は夫コート。柄ぴったりに出来てうれしかったフードです。

夫コートのフード部分

夫コートの型紙は、男のコートの本のダッフルコート。きれいな形のボックス型のコートです。

くるみボタンとくるみスナップ

前身頃にはボタンホールを開けず、飾りのくるみボタンとスナップにしました。和装モノはスナップ+紐が多いので、それに準じてみました。紐はつけてませんが、ばさばさするようならつけないと。

くるみボタンは、好きな大きさのボタンをくるむのが一番てっとり早いです。

和装コートのくるみぼたん

スナップは大きい方が力持ちのような気がするので、クロバーの17mmスナップ2個と予備で普通の小さいの2個つけました。大きくてしっかり留まるので、簡単にはずれたりしないだろうと思うのです。

スナップもくるみスナップ。裏地でくるんでくっつけました。

くるみスナップの作り方は、くるみボタンと一緒なんですが、凸の方は真ん中に目打ちで穴を開けてそこに凸を押し込みます。凹の方は穴は開けずにくるんで、凸をパチンとはめると穴が開く仕組み。

裏地でくるんだスナップ

前身頃の打合せ量をできるだけ多く取ったダブルになってはいるんだけど、丸くカットした部分が広がるかもしれない。帯を結んでみないとわからないので、どきどきします。

裏地

裏地はベンベルグです。ダブルフェイス生地なので、夫コートの時は裏地をつけなかったのですが、着物の上に着るのだったら滑りが良い方が着やすいんじゃないかと。静電気が起こらないといいなあ、と思います。
中途半端に残っていた生地なので、身頃とフード分をグレー、足りなかった袖には黒いベンベルグを使いました。

和装コートの裏地

前端、フードと裏地の境目、袖口は、裏地がふかふかするのを抑えたく、でもステッチを出したくなかったので、ぐるっと全部星止めしました。適当に縫っても表に響くことがなくて楽ちん。分厚い生地は粗が出にくくて良いです。

和装コートの袖口

袖口は裏を気持ち控えて星止め。アキ止まりは補強のために閂止めしました。

洋服を縫うよりサイズとかが厳密でないので簡単です。足下もふわふわのサボとかがかわいいんじゃないかなあ、と妄想ふくらみます。

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