温泉旅館寝間着風の浴衣パジャマを作りました。広幅生地を使って生地代を浮かせ、ほとんどミシンなので手間と時間も控え目です。生地の裁ち方と浴衣との違いについての記事です。
浴衣風パジャマもしくは長い甚兵衛
寝苦しい時期、通気性が良くて洗濯してもすぐ乾く寝間着として、旅館の寝間着や病院の検査着的なものが良いなと思いまして、洋裁用の生地を使って、ミシン仕立ての浴衣風パジャマを作りました。ささっと作れる、なんちゃって和裁です。

着丈120cmで、長めのワンピースのような長さにしました。甚平さんが長くなった感じです。
和裁の作り方なので、型紙はいりません。適当に作って大丈夫なものなので、しるしつけも最低限で、まっすぐに生地を切った後は、部品をくっつけて、ひたすら縫いしろを始末するだけです。ほとんど縫いしろ始末していた気がしますが、ミシン万歳。手縫いでくけるより圧倒的に速いです。
なんちゃって浴衣になっているところ
浴衣のような形に見えますが、かなり簡略化しました。
- 背縫いがないので、縫う場所が減るし、寝ても背中が痛くならない
- 繰り越し揚げがないので、色々手間が減る
- 袖の振りが短いので、袖を作るのが簡単
- 紐で結んで着るので、帯がいらない
- 脇にシームポケット装備で、ちょっとしたモノを入れられる
- ほぼすべてミシンステッチで強度も確保
洋裁と和裁のちゃんぽんですが、パーツ名称や基本ルールは和裁のルールにある程度則っています。
着用シーン限定な注意点
紐で結んで着るので、ゆったりして涼しいですが、着物より裾がばさばさ、はだけやすいです。
腰紐とか細帯で上から結ぶと、着物のようにしっかりしますが、ゆったり着られる事を重視で紐にしたので、着用シーンを限定してしまいました。足が丸見えになりやすいので、宅配便の受け取りや、ゴミ出しには出られないです。
もう少し短い着丈にして、半ズボンをセットした方が防御力は高いような気がします。
浴衣パジャマの材料
今回は、ダブル幅(148センチ)の洋服地を使いました。洋服地はシングル幅(110センチ)もあって、用尺がそれぞれ違うので、用意する前に必要な生地の量というか長さを見積もっておく必要があります。
洋服地を使うメリットは、好きな幅で作りやすいという点がひとつあります。本来、浴衣や和服は反物を使います。反物は幅がある程度決まっているのでサイズの自由度が低いですが、洋服地なら好きな幅で作れます。反物はB反とかが昔は安く手に入ったんですが、最近はあまりないので、服地の方が安く出来ます。
ただ、それなりの長さの生地を、反物のようにまっすぐ切るのは大変なので、切る時の目安にしやすいように、格子や縞の先染の生地が作りやすいように思います。プリントの縦縞は、生地の目とずれている事があるのであまり良くないです。

今回使ったのは、薄手のインド綿。先染めの格子模様に、バンダナ風の模様がプリントされているオシャレ生地です。水通しはしていません。スチームアイロンかけただけなので、洗ったらどうなるか、少しどきどきしています。
副資材
表生地の他に、裏地的に「さらし」を使いました。これも、水通しはしませんでしたが、スチーム多めでアイロンかけてから使いました。
浴衣や単衣の着物には、居敷当てという生地の補強とか透け防止に付ける裏地というか、当て布を付けます。生地によってはつけなくても良いと思いますが、今回の表生地は透け感のある生地だし、汗取り効果にも期待して、居敷当てをつけました。
居敷当ては、和裁の教本だとお尻部分だけだったりしますが、青森で習った浴衣の居敷当ては肩当てと合体した背中全面居敷当なので、今回さらしの使用量は1.4m弱です。
さらしは、一反約10mですが、和裁ではよく使いますし、普通に布巾や蒸し布とかにも使えるので、小間物屋さんや布団屋さん、庶民的な呉服屋さんなどで見かけたら買っておくと便利です。
縫い糸は、生地とできるだけ近い色の糸を使うと、縫い目が目立たなくて良いです。手縫いは、手縫い用の糸使う方が縫いやすいですが、手縫い部分が少ない場合は、ミシン糸だけ用意すれば大丈夫です。
接着芯は使っていません。
浴衣パジャマに使う生地の量
生地を無駄なく用意したかったので、裁ち方図を作って計算してみました。
今回作ったのは浴衣風旅館の寝間着なので、浴衣や長着のようなおはしょり分がなく、袖も小さいので、浴衣を作る時よりも生地を節約できます。ポケットは片方だけでもいいし、なくても全然構わないです。
出来上がりサイズを確認
浴衣や甚平のサイズに決まりはなく、色々好みなので、参考にする程度で色々アレンジしてください。
作例と同じサイズで作ると、腰に巻かれる部分の長さが127cm前後になります。巻きスカートのように、お尻周りに布を巻いてみて、余りすぎないか、もしくは、足りなくないか事前に確認してください。
サイズを大きくする場合は、身頃の幅を広くします。おくみ幅も少しだったら広げられますが、身頃で調整する方が簡単な気がします。身頃の幅を広くした量×2が、全体の幅に追加されます。小さくする場合は、縫いしろを広くすると簡単です。
肩は5cmくらいドロップショルダーになる位の肩幅で、肩幅・ウェスト幅・裾幅をほとんど同じ幅で作るのが一番簡単です。私はぺったん寸胴なので、基準が腰回りになっていますが、胸が豊かで下半身ほっそり場合は、下半身部分はぬいしろ増やすとかで調整可能なので、一番豊かな場所に合わせると良いです。
着丈を小さくする場合は身頃を削ります。逆に、長くする場合は、身頃とおくみを同寸伸ばします。その場合、えりも少し長くした方が安心です。
袖幅・袖丈は好きな幅・長さにしちゃってください。作例だと五分袖くらいになります。
広幅生地の場合
一番少ない長さで寝間着を作れるのは、広幅生地。下図のように、布の幅を合計すると116センチになるので、布幅が120センチより広い生地なら、今回の着丈の寝間着は、244センチあれば作れます。切れ目が曲がっていたりすると困るので、少しだけ多めに用意します。ズボンを一緒に作りたい時はズボン丈(+ぬいしろ)くらいを追加すれば余裕だと思います。

生地の耳は使えそうなら使いますが、固かったり、糸がケバケバしているタイプなら切り落とします。
シングル幅の場合
一般的な110センチ程度の布幅の生地を使う時は、袖を取る場所を移動させ、ポケットを輪にしない対策を取って、260センチ。ポケットは別につけなくてもいいので、下図でポケットと書いてある部分を紐や衿の芯にしてもいいと思います。

並幅の場合
浴衣用とか、着物用の反物(並幅といいます)で作る時は、身頃は半分ずつ取って背縫いをするので、身頃分の長さが倍になるので、8.6mぐらいの用尺になります。
画像だけだと不便かと思ったので、PDFも作ってみました。上図と同じものがA4サイズに印刷できるPDFです。どなたかのお役に立てば嬉しいです。
裁ち方図はここからダウンロードいただけます
ファイル名をクリックするとPDFが表示され、ダウンロードボタンを押すと、ご覧になっている端末にPDFをダウンロードいただけます。ダウンロードいただいたファイルはプリンタで印刷できます。
ご自由に使って頂ければ嬉しいですが、再配布はしないでください。ご利用にあたっての注意事項も一読いただければ幸いです。
浴衣風パジャマの作り方
作り方はこちらの記事です。ミシンでだーっと縫うので、意外と短時間で作れます。
浴衣をきちんと作ろうと思うと、それなりに面倒ですが、甚平だと思えばそんなにハードルが高くないような気がします。自家用のものなので、練習気分で好きなように作れます。
下記は参考図書です。和裁全般なので、浴衣が作れれば良いという方向きではないですが、センチで書いてあって、わかりやすいです。標準寸法が書いてあるんですが、古いので小さいような気がします。浴衣を縫うには、「やさしい和裁」も判りやすいんですが絶版なので、図書館とかで見かけたらぜひどうぞ。
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